業務改善とは
業務改善について考える前に、まず、「業務」とは何か、「改善」とは何かを考えてみます。
この2つの定義を明確にしてチーム内で共有することにより、人によってばらつきがちな「業務改善」のイメージが統一され、議論がスムーズに運ぶようになります。
業務とは
業務改善の対象となる「業務」とは、「“自社にある資源”を“顧客にとって価値あるもの”に変換する活動」と定義することができます。
それでは、「自社の資源」と「顧客にとって価値のあるもの」とは何でしょう。
まずはイ メージのわきやすい「顧客にとって価値のあるもの」から考えてみましょう。

1)「顧客にっとって価値あるもの」を考える
顧客にとって価値のあるものとは、それに対して顧客がお金を支払ってくれるものといい換えることができます。
具体的には、自社で何が顧客にとって価値のあるものかを考えると分かりやすいでしょう。
顧客にとって価値のあるものが自動車・パソコンなどの「モノ」の場合もあれば、修理・相談といった「サービス」の場合もあります。
さらには、株価・賃貸物件などに関する「情報」の場合もあるでしょう。
2)「自社の資源」を考える
顧客にとって価値のあるものに対応する自社の資源とは何でしょうか。
「モノ」を生み出すための自社の資源は原材料であり、「サービス」を生み出すための自社の資源はサービスが施される前の状態を指します。
例えば、壊れた自動車が自社の資源の場合は、修理された自動車が顧客にとって価値のあるものになります。
さらに、情報を生み出すための自社の資源は、バラバラに散らばった現象や事実ということができます。
3)「自社の資源」と「顧客にっとって価値あるもの」を細分化する
企業はヒト・モノ・カネという資本を投下して、自社の資源を顧客にとって価値のあるものに変換する業務を行っています。
前述の例は、全社的な活動を1つの業務としてとらえて、自社の資源と顧客にとって価値のあるものを例示していますが、さらに細分化し、部門単位で業務をとらえることもできます。
例えば、自動車メーカーの開発部門の「業務」は、過去に製造した自動車や顧客の潜在的なニーズという情報(自社の資源)を、新しい自動車の設計図という形(顧客にとって価値のあるもの)に変換する活動、ということができます。
同様に、課、担当者個人という、さらに小さな単位で業務をとらえることができます。
具体的に何を改善すればいいのか
業務は自社の資源を顧客にとって価値のあるものに変換する活動ですから、改善を業務と関連付けて考えると、資源を価値のあるものに変換する活動において、品質・費用・時間をより良い状態を作り出すことと定義できます。
つまり、ある特定の業務に関して、品質向上(クオリティアップ)、費用低減(コストダウン)、納期短縮(スピードアップ、速さ)、といういずれか、または2つ以上を実現することが改善だといえるのです。
業務が改善されたかどうかは、この3つの視点で判断することになります。

業務改善4つのステップ
業務改善とは、自社の資源を顧客にとって価値のあるものに変換する活動(業務)において、品質向上(クオリティアップ)、費用低減(コストダウン)、納期短縮(スピードアップ)のいずれか1つ以上を図ることです。
では、業務改善はどのようなステップに分けることができるでしょうか。分類に絶対的なルールはありませんが、ここでは大きく「現状分析」「解決策立案」「改善策導入」「評価・ 再見直し」という4つのステップに分けて考えてみます。
業務改善の4つのステップすべ てに共通して必要とされるのが現状把握です。

◆「現状分析」「改善策立案」の進め方
現状分析の進め方
「現状分析」のステップでは、現状の業務を分析し、改善目標に向けて“どう改善すれば成果が上がるのか”ということを見極め、改善する業務の方向性を作り上げていく作業を行います。現状分析は下記のステップで進めていきます。

何を改善したいのか
改善のための課題の発見が第一です。やみくもな改善は掛け声倒れになるばかりか、業務を増やすだけです。
業務改善の対象はもちろん「業務」です。業務は「モノ」「コト」「ヒト」から成り立っています。業務改善の対象はこの3つを対象とします。
自分の仕事を振り返り、「どうも、この辺りが問題だ。なんとか改善できないか?」という視点で課題を整理します。

改善テーマ設定の着眼点の事例
「顧客は満足しているのか」「もっと収益をあげられないか」「もっと効率が良い方法はな いか」「コストを下げることはできないか」という思いが業務改善のきっかけとなります。業務の何から改善したらよいかという着眼点としては下記のような例が挙げられます。
1)会議 ~会議の無駄をなくす~
業務の中で会社の業績に直結せず、無駄な業務として一番にあがるのが「会議」です。
無駄な会議をなくすためには目的を明確にし、改善点を明らかにすることです。 無駄な会議は目的が明確になっていないことが多いため、まずはそれぞれの会議を目的別に分類します。うまく分類できない会議は、目的が不明確であったり、複数の目的を兼ねていたりする場合があります。

2)コストダウン ~利益を増やすには~
コストダウンは会社の事業活動からムリ・ムダ・ムラをなくし、収益に結びつける状態を作り上げることです。

改善課題の明確化
改善テーマを設定したら、そのテーマにどんな課題があるのかを明確にしていきます。
1)業務プロセスチャート化
業務や帳票の流れなどはプロセスチャートを作ることで課題が明らかになります。
プロセスチャートは、個人の業務の流れを、部・課・係・担当者といった範囲で関連付け、他の部門まで広げていきます。
プロセスチャートにすると、どの部署の、どの段階に課題が あるのかが明確になります。

1)マトリックス法
課題には「階層」があり、相互に関連しているケースもあります。そのため課題という言葉の解釈のすれ違いが起こるケースも少なくありません。
こうした課題の抽出・整理に適しているのが、マトリックス法です。
洗い出された課題を、部署、課題の重要性などの2つの軸で一覧にし、課題の性質を明らかにしていく方法です。
各部署でどのような重大な課題があるのかがひと目でわかるとともに、課題の関連性が浮かび上がってきます。

改善策の立案
課題が明らかになったら、効果的な改善テーマに標準を合わせ、改善の方向性を探ります。
創意工夫が求められ、物の見方の転換が求められます。そこで、改善の方向性を決める5つの視点を利用して方向性を決定していきます。

1)排除
目的があいまいな業務、役割を果たしていない業務などは「排除」します。仮に一度やめてしまった後、必要性を感じたら復活させればよいのです。
2)交換
作業手順を入れ替える、担当を入れ替えるなど、何かと何かを「交換」してみることでも改善されることがあります。
3)簡素化
業務プロセスを簡素化したらどうなるのかを考えます。さらにどうすれば簡素化されるのかを考えます。業務の標準化なども「簡素化」に含まれます。
4)変更
時期が集中する業務に関しては、事前に行える業務の時期を「変更」することも改善の効果があります。業務を分散化、細分化して、業務の進め方を変えようとする視点です。
5)対照
拡大と縮小、集中と分散、標準と個別、事前と事後など現状採用している業務の進め方に対して、これらの「対照」的な視点で考え直すことです。
中小企業振興会は自社の問題点や強みなどを一緒になって洗い出し、時代のニーズに合った業務の改善策やソリューションのご提案を致します。
◆セミナー&研修
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業務改善・効率化サポート|NPO法人中小企業振興会